映画国宝つまらない 「国宝」を酷評する?

映画「国宝」は2025年12月30日で興行収入184.7億円を記録し、これまで1位だった「踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003年)の173.5億円を破り、実写邦画興収第1位となりました。

海外での評判もおおむね好評で米アカデミー賞が受賞できるかどうかに興味も集まってきます。これが受賞なら「上がり」いわゆる終わり良ければ総て良し、完了というわけで最期を決めたという感じになって収まりが良いと思いますね。また受賞すればリバイバル上映もされてもっと興収を増やすこともできるでしょう。

むろん国内での評判もよく、だからこそのこのメガヒットに繋がったことは間違いありません。

ですが、この好評価とは逆によくないという意見もあります。映画に限らず何でも賛否両論があるのが当たり前でありますし、作品に対して良かった、悪かったと意見が割れるのは当然でしょう。

また自分とは反対意見も聞いてみると、視野が広がりますし、より作品を味わい深くするでしょう。

映画国宝つまらない この作品に対する否定的な意見は話がつまらないからか?

「国宝」に対する否定的な意見はおおむね次の3点が挙げられるでしょう。

①物語の不満

※長編小説が原作なのでだいぶ端折っているので展開が急ぎ足で登場人物の心理描写不足、話の展開にサプライズがない、予定調和で話に興味が持てない、セリフがクサい・リアリティがないという意見が多々あります。

②「芸」の世界への共感の難しさ

※役者たちの芸への執着心が狂気に感じられ、その世界から外れている普通の人々の共感が得にくい、歌舞伎への知識がないと芝居の演目がよくわからないという意見があります。

③映像美とのギャップ

※映像の美しさ、吉沢亮と横浜流星の主役ふたりの演技は良いけど、①で挙げたとおり内容が薄く感じられ表面的な作品と感じたという意見です。

映画国宝つまらない これをつまらないとしたら邦画のほとんどがつまらないよ?

それでこれから私の意見を述べます。私はこの作品は絶賛に値する邦画史上に残る名作だと思います。近年、日本映画でこれだけ作りこんで厚みがあり映像美から演出、演技に熱がこもった作品はないと思います。これと並ぶ作品は同年2025年に封切られた「宝島」です。

役者と監督がこれだけの熱量を感じさせる作品は久しぶりです。映画のテーマに対して真摯に取り組み、観客に伝える熱意というものが日本映画全盛時代の1950、60年代の名作と肩を並べるものだと思います。

こんな日本映画の力作を見ていると、アニメに押され気味の邦画の実写でもこういった作品ができたことに頼もしさと嬉しさが感じられました。

映画国宝つまらない この映画がつまらないという指摘は当たらないと言える?

最初の批判の指摘、話の展開が急ぎ足で人物描写が浅いということなんですが、私にはそう思えませんでした。時代設定を示す年号がさっさと出てくるからさっさと話しが展開していき、そのために人物描写も希薄に見えるのでしょう。

やくざの親分の息子、喜久雄がおやじの復讐をしようとして失敗して、自分を認めてくれた歌舞伎役者の花井半二郎の元で修行するところに至るのはテンポが良いし、かといって喜久雄の描写が浅いということもないですよ。とても自然にこうなるだろうなと納得させました。

この喜久雄と俊介の少年時代を演じる黒川総矢と越山敬達も歌舞伎を演じているのだから、彼らも吉沢亮や横浜流星のように歌舞伎の稽古をしていますね。何かと吉沢や横浜の陰に隠れている彼らの健闘も称えたいと思います。

長編小説だからいろいろと端折っているとは思います。原作は読んでいないので想像しただけですが、かなり原作から切ってしまったのが多いでしょう。しかしドラマとしてみた場合、切ってしまったからの薄さはほとんど感じません。

映画国宝つまらない 歌舞伎役者の息子とやくざの息子の芸をめぐる憎しみのドラマ?

やくざの息子である喜久雄と半二郎の息子である俊介。見る前は歌舞伎役者の息子で親の稼業と継ぐ俊介がよそからやってきた喜久雄に嫉妬と負けん気で憎悪を燃やす、一方喜久雄はよそから来たために、歌舞伎役者の息子の俊介に妬みがあり、あいつに負けんぞというドロドロした憎悪の物語だと思いました。

ところが見ていると違いました。半二郎は自分の息子である俊介に自分の役を継がせるのではなく、喜久雄を選びます。だが、俊介は喜久雄に憎しみを覚えるのではありません。彼は内心悔しいという思いはありましょうが、喜んで喜久雄が務めることを応援するわけですね。

喜久雄が自分は歌舞伎役者の血筋がないと泣いているところに、芸があるじゃないか、と励ます俊介の場面がとても良いですね。ライバルでありしかし親友であるから、喜久雄は俊介には気を許していて泣くところをみせます。単にライバルとすれば相手に弱みを見せたくないので泣かないのですよ。半二郎の役を継ぐプレッシャーに耐えかねて俊介の前ではそんな弱音を吐いてしまうのです。

そう言いながら喜久雄にメイクする俊介。ここを見ると同性愛みたいなニュアンスもあるかなと思えます。イケメンふたりですし、役柄上女形でもあるのでそれを狙っているのかなあと思います。海外では香港映画「さらば、わが愛 覇王別姫」(1993年)と比べるレビューがありますし、李相白監督もこの作品を発想のもとにしているとコメントしています。

また喜久雄が劇場を離れる、俊介は離れるなとふたりは殴り合いの喧嘩になります。喜久雄は俊介に殴られて鼻血を流します。それを見てあわてて喜久雄に謝る俊介。ふたりは芸を競うライバルではありますが、親友でもあることを示す場面ですね。

ライバルであれば嫉妬や憎しみもありますが、親友なのでそんな感情は起こりはするでしょうがそれを抑えているのでしょう。

映画国宝つまらない 男同士の友情を描くのに爽快感のあるドラマになっている

男の友情というとスポ根ものを連想させます。が、この作品では汗臭さもなくさわやかに男同士の友情を見せるんですね。

そこに私は感動しましたね。吉沢亮と横浜流星も過剰な力みを入れない演技によってほんのり香る香水のようで清涼感がありました。ここが意外、予想外のことでありました。この映画をセリフがクサいとか話の展開にサプライズがないという意見もありました。けれども私にはこの友情がとても清々しくこれがサプライズでした。

というわけでこれは芸道ものにありがちな芸に対する狂気じみた執着心ではなく、男同士の気持ちの良い友情ものなのです。

映画国宝海外の反応 アメリカの反応は?アカデミー賞受賞なるか?PART3
「国宝」はアメリカのアカデミー国際長編映画賞にノミネートされました。他の候補作はパレスチナ問題を扱った作品や、ウクライナのことを描いた作品、中絶に関わる女性の人権問題などなぜ今製作されたのか明確でタイムリーな作品が多くて、それに比べたら「国...

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