ボブ・ディランの伝記映画「名もなき者」はティモシー・シャラメの熱演が光る

ボブ・ディランの伝記映画

ボブ・ディランの伝記映画「名もなき者」は、主演のティモシー・シャラメ自身が歌を歌い楽器を演奏している熱演が好評の作品だ。シャラメ以外にも、ジョーン・バエズ役のモニカ・バルバロ、ジョニー・キャッシュ役のボイド・ホルブルックらシンガー役の俳優も自ら歌った。昔のミュージカルなどは歌がうまくない俳優をキャスティングしたら口パクの吹き替えはよく行っていたが、今は俳優自身が歌わないと観客が承知しないから、俳優も大変だ。プロのシンガーじゃないから、歌のレッスンを行っただろうし、プロ級の歌声じゃないといけない。音痴だと最初からキャスティングしないんだろうね。

ボブ・ディランが映画化にあたって要望を出した

ボブ・ディランは当初は自分の役をティモシー・シャラメが演じるのに難色を示した。それは自分は彼のようなイケメンじゃないからと言った。しかし、シャラメがこれほどの熱演をしたらディランも満足しただろうと思われる。

またエル・ファニングが演じたシルヴィー・ルッソは当時のディランの恋人スージー・ロトロをモデルにしている。ディランが監督のジェームズ・マンゴールドに彼女の本名を使うなと依頼したようだ。

なぜ本名を使うなというと、監督によればボブ・ディランは私に彼女は公人じゃないからだと伝えただけだと言う。彼女の名前が映画によって世間に知れ渡ることに配慮したのかな。

ボブ・ディランとジョーン・エバスが・・・・

映画ではボブ・ディランとジョーン・バエスは1965年のニューポートフォークフェスティバルで「It Ain’t Me,Babe」をデュエットしているが、実際には1964年のフェスティバルで行われた。この模様はバエスのアルバム「Live at Newport」に収録されている。ふたりは1965年のイギリスのツアーで仲違いし、バエスの自伝では10年間ディランと口をきかなかったと記されている。

事実とはちょっと違う

映画の中でボブ・ディランが「エレクトリック パフォーマンス」をして観客を驚かせるが、そのうちの一人が「ユダ!」と叫ぶ場面がある。だが、実際には1966年にイギリスのマンチェスターでボブがエレクトリックパフォーマンスを披露したときに起こったことである。

実話だろうけれども劇映画は事実のみで描くものではない

映画で実在の人物や事件を扱う場合、事実を違うことを描くことはよくあることだけど、そうだからと言って失敗したとは言い難い。本作もここで挙げた以外にも、事実とは異なることが多々ある。けれどもだからといってこれがつまらない作品とは言えない。ラストシーンも実際とは違うのだが、このアレンジが良い。情感があって心に染み入るような場面である。終わり良ければ総て良し。このラストシーンだけでこの映画は秀作だと思う。関係者の気に障る変更じゃなかったら、実話でもあくまでこれは劇だということを意識しておこう。

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