今の邦画でヒットするのはアニメが多い中、「国宝」は邦画の実写映画としては22年ぶりの興収100億円こえる大ヒットを記録しました。この大ヒットはアニメに頼る業界に衝撃を与えるものになったでしょう。
肯定的否定的の両論あり、映画を観た人々が議論することによって映画館に引き寄せる効果があったのでしょう。
日本の伝統芸能を描くことで、そうなると日本人としては海外での反応が気になりました。この記事ではそれを取り上げてみましょう。
映画「国宝」海外の反応 カンヌ映画祭における作品の感想
「国宝」は2025年のカンヌ国際映画祭に出品されました。約6分間のスタンディングオベーションがあったことからおおむね好評でした。
フランスの国際ラジオRFIは、
「俳優の素晴らしい演技と歌舞伎の舞台は絵画のようで、今年のカンヌで最も美しい作品のひとつ」と絶賛しました。
しかし、一方で映画批評サイトCritikatでは、
「豪華なテレビドラマのようなありきたりの演出で、物語の勢いに欠ける」と評しました。
賛否ともに納得できる批評であります。賛と否どちらかに偏ったものよりも、作品に対して賛と否の両論の方が観終わった後で議論になるのでこれが人々の興味を引き付けるものになるので、この方が作品にとっていいことです。
それでもカンヌでは「国宝」はおおむね好評で3時間の長さも苦にならないほど、映画の世界に没頭するほどの魅力がありました。
このカンヌでの反応は、賛の方は俳優の熱演と歌舞伎の舞台の美しさを挙げて、否の方はありきたりのストーリー展開で平凡な演出という大きくふたつに分けられるでしょう。
日本国内のレビューでもおおまかにこのふたつに分けられていますね。
これから海外でも公開されますし、そこでの反応も賛否は大体こういうところではないかなと思います。
映画「国宝」海外の反応 仁侠の世界から歌舞伎へという設定があまり生きていない?
ありきたりのストーリーというところですが、主人公が元はやくざというところは変わっています。けれどもこの設定はちょっとひねったくらいであまり歌舞伎に没頭するのに支障もないし、ちょっと弱いですかね。まあやくざであったことからの虚無感とか孤独感に主人公の気持ちを左右しているというところはありますね。
これはやくざであることよりも、歌舞伎役者の息子である設定ならありきたりでもあるけれど、梨園の世界に生きることの虚無感はより深く描けたと思います。
映画「国宝」海外の反応 邦画業界の影響はどうなるのか?
ともあれ、邦画でアニメでない実写映画のメガヒットは、とりあえずアニメに頼る業界に良い影響が出るでしょう。実写は丁寧に作りこんでいけば、お金がかかりますがこの作品のようにヒットが望めると分かれば、邦画の実写も大作が作られていくことでしょう。今の邦画は大作を作ることに及び腰ですしね。お金をかけりゃいいってもんでもないですが、話がご近所のもめごと程度のものばかりではうんざりしますね。スケールのでかい話もたまには観たいものです。また口コミでの広がりがあったので、観ておいて損はないという充実感もあったのは確かですね。出来がとても悪くては口コミで観た人がなんだつまらないとなったら、こんなにヒットするわけがないですからね。私個人としてはアニメは嫌いじゃないので、アニメに嫌悪感はありません。むしろ衰退している邦画業界では、こういう客が入るものに偏るのは仕方がないでしょう。邦画業界を支えてくれてありがとうと思います。でも、私は役者の演技を声だけでなく、映像で観たいという欲求が強いのです。ですから、もう少し実写も頑張ってほしいと願うのです。

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