日本で唯一無比のアクション女優・志穂美悦子

志穂美悦子のデビューの背景

志穂美悦子。日本で初めてのアクション女優。千葉真一が主宰するジャパンアクションクラブ出身。

本名は塩見悦子。デビュー作「ボディーガード牙」では本名を使ったが、その後「ボディガード牙 必殺三角飛び」で志穂美悦子名義にした。この芸名の名付け親は千葉の元妻・野際陽子である。テレビの特撮ヒーローもの「キカイダー01」でレギュラーとなり、彼女のキャリアのスタートになる。

「燃えよドラゴン」の大ヒットが彼女をスターにするきっかけを作った

おりしもブルース・リーの「燃えよドラゴン」が大ヒット。東映もこの波に乗って空手映画を作る。細かいことを言えばブルース・リーを初めとする香港の格闘映画はカンフーなんだが、当時はカンフーという名称が一般的に知られておらず、空手映画と言った。次々とやってきた香港のカンフー映画は当初は空手映画と呼んでいた。しかしまあ、千葉の格闘は空手であるから東映のやつは空手映画と呼んで差し支えない。中には「少林寺拳法」というタイトルもあるが。

この時期に「燃えよドラゴン」の大ヒットは志穂美悦子が売り出すためにはとてもいいタイミングであった。この時期から外れるとアクションスターとして大成できたかどうか。志穂美の後に釈由美子や水野美紀といったアクションができる女優がいるが、70年代の東映のようにアクション映画を量産する時代ではなかった。

だから志穂美悦子の前にも後ろにもいないアクション映画女優という肩書が異彩を放っているのだろう。そう思えば悦ちゃん(なれなれしいな)が唯一無二の女優としていられる。でも後から女優がアクションをこなす映画が増えたのに、これが悦ちゃんがいなくなってから日本映画では途絶えてしまう。

これを継承したのが戦隊シリーズか。主役の何とかレンジャーの紅一点(二点のときもある)、あるいは敵方の女性たちによるアクションは、志穂美悦子の血脈が受け継がれると言えるかな。悦ちゃんも「ジャッカー電撃隊」にゲスト出演していたし。

えーと、悦ちゃんというのは面識もない私が言うのはなれなれしい。だが、かつての彼女のファンはそう呼んでいたのだ。だから悦ちゃんと呼称させていただく。志穂美悦子とか志穂美悦子さんというのはどうもしっくりいかないのである。

アクション映画以外にも進出する

そんな悦ちゃんのアクションを見続け、彼女が役の幅を広げようと、アクション抜きの映画にも出るようになった。これは役の幅を広げることだから当然悦ちゃんとしても必要なことだっただろう。それは分かるし、アクション一本だけでは演技者として行き詰まることになる。けれどもファンである私は志穂美悦子の魅力って日本で初めて本格的なアクションができるという点が他の女優にないのが売りだから、シリアスな劇とアクションものを二本立てで進んでほしいという気持ちである。だが、東映も80年代後半からアクションものが減っていくし、邦画全体がアクションものを作らない傾向になったのでアクションスターにはまずい状況になってしまったし。

結婚を機に引退してしまう。残念無念。

しかしそうでなくても悦ちゃんは結婚して引退してしまうのだよ。結婚なんかするなよとファンの勝手な要求はしない。しかしそれを理由に引退して欲しくなかった。なにしろ大げさでなく、志穂美悦子がいないなんて邦画にとって大きな損失なんだから。

志穂美悦子のいない。彼女は戻ってこないのか

1987年に結婚して引退したので、私は悦ちゃんロスになってしまった。だが彼女が出演した映画やテレビドラマをレンタルビデオからDVD、ブルーレイ、そして今は動画配信も加わって、それほどの寂しさはなかった。しかし新しい作品が観られないというのは残念だ。

志穂美悦子はアクションができるというのが最大の魅力であるが、それを抜いても悦ちゃんの姿を拝みたかったが、彼女は引退しているのでもはや駄目かと思われた。

ところが、2024年頃からメディアの露出が増えたなと思ったら、シャンソン歌手としてデビューするという。アクション女優でないのは残念だが、今の状況ではアクションは不利だろう。アクション映画が少ないし、彼女も60代ではアクションはきつい。

歌手として再び芸能界へ戻る志穂美悦子

この際、アクション女優じゃなきゃ嫌だとは言いますまい。歌手として活躍するというのでもいいじゃないか。彼女が見られたらいいのだ。

歌手としての芸名は鬼無里まり名義だ。鬼無里は長野県鬼無里村から取った。コロナ過の前に訪れてきに入ったのでこれを使用した。まりは彼女が初めてレギュラーになった「キカイダー01」のビジンダー・マリからである。しかしまあ、キカイダーとかビジンダーとかハカイダーって直球のネーミングは子供にわかりやすくしたのか、変にこねくりまわさずそのまんまで良いと思ったのか。

歌手としてはもちろん、役者として戻ってきてほしいな。

ともあれ、彼女が表舞台に出てきたのは素直にうれしい。写真を拝見したところ、60代後半という感じはしない。少々歳は感じるがそれは仕方ないが、芸能界から引っ込んだのにこの美しさをキープしていたという見えないところでの努力をしていたのであろうと考えると頭が下がる。アクション女優として筋トレもしただろう。そしてこうやって努力したのはまた映画やテレビドラマに出るという意思もあったのであろうと思う。彼女の努力を買って、プロデューサーの皆さんはぜひ出演依頼してもらいたいなあ。

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