ジュラシックパーク気まずいシーン ジュラシックパークは大人向けか家族向けか?

2025年8月8日、「ジュラシック・ワールド/復活の大地」が公開されます。「ジュラシック・パーク」(1993年)から数えると7作目に当たりますが、「ジュラシック・ワールド」というタイトルに変えてからは4作目です。「ジュラシック・パーク」とは同工異曲、あるいはスピンオフと考えておいて、私は「ジュラシック・ワールド」シリーズとしておきます。

ジュラシックパーク気まずいシーン ジュラシックパークの原作はどうして生まれたのか?

今回はこのふたつのシリーズの第一作として「ジュラシック・パーク」(1993年)を紹介します。

原作者マイケル・クライトンがこの小説のアイディアを思いついたのは1981年です。琥珀の中にいる昆虫がDNAを保存しているという記事を読んで、恐竜をよみがえらせるのはこれだ、と思いついたわけです。そんなDNAから再生させることは可能だということです。しかし、琥珀にいた昆虫は恐竜の血を含んではいましたが、DNAが分解してしまうため恐竜を笹再生することはできません。そこには目をつぶって、クライトンはこの方法でストーリーを考え、1990年に執筆しはじめます。

その頃、スティーブン・スピルバーグはクライトンの「5人のカルテ」を映像化したいと本人に許可を取りにきました。そこでクライトンは「ジュラシック・パーク」を書いているところなんだとスピルバーグに提示しました。

これはいかにもスピルバーグの好みですから、彼は即座にこれを映画化することに決めました。

ジュラシックパーク気まずいシーン メディアフランチャイズという商法

この映画の大ヒットでこのシリーズをメディアフランチャイズという仕組みをつくります。メディアフランチャイズというのはある知的財産をもとに、映画・テレビ・ゲーム・書籍・グッズなどの様々な展開を行うことで、映画のヒットシリーズはこのようなビジネス戦略をとっています。1970年代に角川書店が自分の抱えている小説の文庫本の売り上げを上げるために、これらの角川書店から出版している小説の映画化を考えます。原作本とその映画化で両方ともヒットさせる戦略は今のメディアフランチャイズの先駆けですね。角川書店はその後映画の主題歌のCDも相乗効果でヒットさせるのです。

ジュラシックパーク気まずいシーン ジュラシックパークはCGの力を見せつけた映画

さて本作品ではCGによる恐竜があまりにも本物らしいのが観る者に衝撃を与えました。もっとも本物の恐竜を見た人なんていないですけれど。だからほとんどの恐竜がCGだと思ったらそうではなく、CGを使用している場面は約7分間だそうです。まあ撮影にはもっと使ったでしょうが、編集してそれくらい残ったというわけです。遠景にいる恐竜が着ぐるみもモデルアニメでもない動きが生きている生物みたいで驚きました。またティラノサウルスに食われる弁護士を役者からCGに変える処理をしています。これをデジタルスタントマンと称しますが、本作で初めて表現されたものです。

ジュラシックパーク気まずいシーン 作品の恐竜の大部分はCGではないのかな?

大部分の恐竜はアニマトロニクスを使いました。アニマトロニクスとは生物を模したロボットを使用して撮影や演出することです。

このロボットの欠点は表皮を使用したフォームラバーが水を吸収することです。おかげで雨の場面でロボットの重量が重くなり、油圧システムが故障するのが頻繁におきて、スタッフはその修復や乾燥のために徹夜が続きました。

プロデューサーのキャサリン・ケネディも、雨の日にこのロボットが急に動き出して驚いたとコメントしている。昼食を取っているときに突然動き出して怖かったと言います。最初は何が起こったのか分からず、スタッフの中には悲鳴を上げた人もいましたが、すぐに雨のせいだと解り安堵したそうです。

ジェラシックパーク気まずいシーン 役者のスケジュールに合わせた撮影をすることで監督の希望する俳優の確保をした

スピルバーグは希望する役者の確保のために、彼らの都合に合わせて、撮影を数週間遅らせています。

ジュラシックパークのスポンサー、ジョン・ハモンド役のリチャード・アッテンボローが監督していた「チャーリー」(1992年)の編集や音楽や字幕の挿入などの仕上げが終わるまで待ちました。古生物学者アラン・グラント役のサム・ニールは「ファミリー・ピクチャーズ」(1993年)の撮影中でした。この作品の撮影が全部終わるやいなやすぐに本作品の撮影に臨んだそうです。このふたりの俳優はどうしても欲しかった俳優なのであり、他の人選はありえないと言うことなのでしょう。

ジェラシックパーク気まずいシーン あまり人気のない古生物学に脚光が当たった

この映画のアドバイザーである自然史博物館恐竜研究所のネイト・スミス博士はこの映画が大ヒットしたために古生物学者になりたいという若者が増えて嬉しいとしています。今の時代は原子核や宇宙開発の方に目がいって、その結果年間50種の新種の恐竜が発見されているそうです。恐竜の新種がこんなに発見されるなんて、これはこれで凄いですね。動物も植物もよく新種発見という記事があるけれど、私たち人類が認識している生物はまだまだほんの一部なんですね。

ジュラシックパーク気まずいシーン ジュラシックパークの描写のどこがいけないのか?

子供は恐竜好きですから、本シリーズもファミリー映画の趣はあります。スピルバーグは結構グロテスク趣味を作品に盛り込んでしまうのですが、本作ではそれを抑え気味ですね。

ティラノサウルスが弁護士に食らいつく場面で、血を飛ばしたり、腕や脚が食いちぎられるというところを見せていません。家族連れだと数人で観にくるのだから、ハリウッド映画が大ヒットを狙ってファミリー映画にするのは商売上では当たり前ですから、ご家族が顔をしかめるようなものは見せません。

それでもこれはなあという気まずい場面があったりもします。

ひとつは子供たちがキッチンで恐竜に襲われる場面です。恐竜の爪や牙がせまりくる怖さは観客にも伝わるでしょう。でもこういう場面を設定すると、子供をこんな目に合わせるのかというクレームが一部にはついてしまうのです。しかし、ハリウッド映画の倫理コードから言えば、こういうシチュエーションで子供が命を落としたり、腕や脚が食いちぎられるとか血まみれになるとかいうのはありません。ヒーローが敵にやられて死ぬということがないのと同じで、結果はわかったうえでハラハラするということになります。あんまり子供をハラスメントしているということではないかぎり、これは作劇上ありでしょう。

 

もう一つはグラント博士とサトラー博士がトリケラトプスの糞便を調べる場面です。その過程で両博士が糞便の臭いや感触に苦しめられるのです。

それは観客に強烈な臭気と視覚的に不快感を覚えるので、そこに嫌な感じを受けるかもしれません。特に親は子供に観るには不適切となるかもしれません。

ですが、子供ってうんちが汚いものなのであえて口にして笑いにしてしまうってことがよくあるでしょう。そんな無邪気なところがありますから、親が思うほど心配することでもありません。もしかすると子供っぽいと言われる作品を撮るスピルバーグもこの子供みたいな無邪気さでこの場面を撮っているのでしょう。どう、この場面、臭そうだろうってにやりとしているのかもしません。

 

ジュラシックパーク気まずいシーン ジェラシックワールド/復活の大地」は大ヒット

さて「ジュラシック・ワールド/復活の大地」の興行成績はどうなんでしょうか。8月8日から11日の4日間で観客動員数98万人で興行収入が15億3675万7790円という快進撃です。近頃は洋画よりも邦画のアニメに人気が集中しており、洋画は不調なのですが、これはトム・クルーズの「ミッション・インポッシブル ファイナル・レコニング」と並んで2025年興行成績ベストテン内に入ることは確実でしょう。アメリカでは初日で2800万ドル、約40億円の興収があります。この調子なら次回作の製作も決まりというところでしょう。

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