プラダを着た悪魔2アジア人差別 前作との20年のブランクが引き起こした社会の変化とは何か?

5月1日(金)に公開された映画『プラダを着た悪魔2』が、公開3週目を目前に控えた週末興行において、週末動員【253,390人】、興行収入【4億593万5700円】を記録し、週末映画ランキング第2位を獲得。動員では2位だったものの、興行成績では堂々の1位となりました。
累計では動員【2,272,014人】、興行収入【34億1555万6400円】を突破し、依然として高い熱量を維持しています。
近年ではSNS上の口コミが興行成績に影響を与えていますが、鑑賞後の感想とともに“リピート鑑賞”を示す投稿も増加しています。この2度以上鑑賞するというのはアニメで良くみられる現象ですが、実写でこういう傾向が顕著だと、これはヒットも当たり前ですね。
「1回目はストーリーに圧倒されて、2回目で衣装に集中した」「泣くと分かってるのにまた観に行ってしまう」「推しシーンや推しキャラクターのセリフの確認のためにもう1回行く」「字幕・吹替で印象が全然違うから両方観た」といった声が相次ぎ複数回鑑賞が自然な楽しみ方として広がりを見せています。

前作が働く女性に対する応援歌みたいなものが受けて大ヒットしたわけですが、今回もその期待が女性観客を引っ張ったことでしょう。

しかし今回は公開前に人種差別だ!と言う声があがりましたね。

『プラダを着た悪魔2』アジア人差別 炎上から考える、現代の映画製作と多様性の壁

炎上の発端は、日本時間4月17日夜に公開された約40秒のクリップ映像です。「ランウェイ」編集部で主人公アンディ(アン・ハサウェイ)に就いたアシスタント、新キャラクターのジン・チャオ(ヘレン・J・シェン)が登場し、どういう役柄か紹介した場面が出ました。だが、これを見た微博(ウェイボー)やX上のインフルエンサーたちが批判の声を上げたのです。

ジン・チャオは背が低く眼鏡をかけて美人とは言えない容姿なのでこれは欧米の白人による黄色人種の偏見だ、差別だとなったわけです。しかしこれは公開前の切り取った40秒の映像だけでクレームが入ったので、これは作品自体を観てから判断すべきことなのです。

それで実際の作品を観てみますと、やっぱり映画は観てみないと言及するのは控えた方が良いでしょうとなりました。ジン・チャオを差別的とするならば、彼女をコメディリリーフにして笑いを取るという方法もあるでしょう。ところがそんな役割を彼女に取らせてはいません。

それどころか彼女はあるアイディアで主人公たちの欲求を叶えています。経営難になった出版社の雑誌編集長ミランダ(メリル・ストリープ)が会社の重役と話し合いをしています。アンディ(アン・ハサウェイ)たちは彼らが何を話しているか気になります。そこでジン・チャオが会社のお偉方のいるテーブルのそばを通り、わざとスマホを落とします。スマホの録音機能を作動させて、ミランダたちの会話を取るわけです。ここでチャオの機転でアンディたちが助かるわけで、だからアジア人は間抜けでお笑いのネタにするということはしていないのです。背が低いこと、眼鏡をかけていること、これらについても冴えない東洋人としていないのに注意したいと思います。

プラダを着た悪魔2アジア人差別 アジア人差別はしていない。ただし、まったく偏見がないとは言えない。

もちろんチャオの容姿設定に白人の偏見、差別意識がまったくないとは言えないでしょう。まったくないなら、チャオをおうっ、という声を上げそうな美人を出してきてもおかしくないのです。しかしそれではアン・ハサウェイが見劣りするのかもしれません。本作も結局は白人が主体でありますから、アジア人女性が白人女性よりも目を引くというのは、差別はよくないと思いながら黄色人種の方が目立つのは面白くないと考えたと思います。また今時の制作者としてもあからさまにクレームがつきそうな描写をしないように気をつけているでしょう。チャオをコメディリリーフとして描かないことがそれにあたると思いますね。

今回は切り取りだけで炎上しましたが、こういった声を上げることは意義のあることです。今までよしとしたものが、倫理的にどうかと考えていって悪いことを正し、よりよい社会を築いていくことは人類の進歩なのであります。今時、白人中心のハリウッド映画でもこんな差別はどうなのよ?と議論をたたかわせることは良いことなのです。それによって一般大衆に今まで意識していなかった差別について考えるようになるのです。

これにあまりコンプラ、コンプラとか倫理、倫理と言ったら何も描けないじゃないかと言われる方もいらっしゃるでしょう。でも創作物はそういう規制を逆手に取って表現することもできるわけです。それが創作に深みを与えるものになるのでしょう。直接的でなく、間接的に描いて観る人に想像させるのが芸術なんでしょう。

プラダを着た悪魔2アジア人差別 コンプライアンス重視が現れた続編。これは差別を意識した制作をしている

20年前のパート1と今回の続編でどんな変化があったのでしょうか。2006年の前作から今回の作品の間ではコンプライアンスを重視する、ということが先進国における社会の変化ですね。

20年前の作品はほとんど白人しか出てこない映画でした。そしてこの続編の間にさまざまな人種の移民で構成されたアメリカ合衆国でほぼ白人なのはおかしい、これは他の人種に対する差別だということになりました。そこで必ず黒人を最低一人は加えるということになり、それが黄色人種などの他の人種もちらほら出てくるということになりました。

そういう意味では切り取りの映像だけで差別だとした本作へのクレームは筋違いだと分かります。本作にはエキストラやほんのちょい役でも東洋人が出てきます。アジアを意識したのか他の作品より多めに出ています。今時差別描写をしたら炎上になるというのは制作者側も分かっていてこういうキャスティングをしています。かと言ってジン・チャオをアン・ハサウェイやエミリー・ブラントみたいな容姿をしていないので、まったく差別意識や偏見がないとは言えないでしょう。だから声を上げることは重要です。そうすることで制作者側に意識はしていないが心の底に眠っていた偏見を指摘して、彼らにそれを認識させると言えます。人種とは別にルッキズムの観点から問題提起が出来ます。これまではコメディでは許容された見劣りのする容貌を笑うというのはどうかということですね。しかし本作では彼女を笑いものにしていないから、指摘した人の偏見から差別を言っているのではないかと反論もなりたちますね。

プラダを着た悪魔2アジア人差別 職場における考え方の違い 昔はいいこととされるものでも今では問題になる

それと編集長ミランダのアンディに対するパワハラですね。ミランダはアンディに勤務時間外でも電話してあれしろ、これしろと言いますね。また彼女は部下に対してやたら高圧的ですね。前作のミランダを見たときは、アメリカでもこんな独裁的な上司っているんだなあ、と思っていましたが、当時でもこれはアウトの案件でしたね。しかしそれでもミランダのプロフェッショナルな職業意識という風に美化して見ることもできますね。しかし、2026年現在ではまったくのアウトです。

そこで続篇におけるミランダはまったくの悪役にしないものの、彼女を前近代的な古い価値観から抜け出せない化石としていう捉え方をしていて、現代では完全に論外としていますね。そうして昔は良しとしたものは実はいけないことなんだという注意喚起をするわけです。

さて・・・前作を視聴するにはどこのサブスクが良いのか?

続篇を観る前に前作を予習あるいは復習すると時代の変化を感じ取られます。2026年現在、アマゾンプライムで観られます。会員になっているのに、これを鑑賞するにはレンタル料金300円が要るのが悔しいところですね。しかし、ディズニープラスの会員なら追加料金なしで視聴できます。

プラダを着た悪魔について知っていることのトリビア3選
2026年5月1日に続編が劇場公開される「プラダを着た悪魔」(2006年)がもう20年前の映画かあ…とおじさんである私は感慨にふけってしまいます。光陰矢の如し、時が過ぎゆくのは早いものです。さてストーリーを簡単に言うと・・・オシャレに興味が...

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